無収縮モルタル工事
無収縮モルタル工事とは
耐震補強工事のいずれの工法の場合でも、既存の構造部材と新しく施工される補強用構造部材との取り合い部分(接合部分)には隙間ができてしまい、この隙間を埋め合わせ構造物を一体化することで初めて十分な強度が得られます。
無収縮モルタル工事では硬化の際に収縮を起こさなグラウト材をセメント状にペーストにし、隙間や細かなひび割れ箇所に圧入・注入します。
注入する材質は懸濁液、乳濁液、薬液(ケミカルグラウト)などの数種類あり用途により使い分けられ、現在耐震補強工事をはじめ様々な建築現場においておこなわれている工法です。
無収縮モルタル工事の特徴
無収縮モルタル工事の特徴 |
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グラウト材は、練り方や水との混合比率によって強度に大きな差が現れ、練り方が不十分な場合や、水との比率が最適でないと本来の性質・強度が発揮できない恐れがあります。
また、コンクリートに比べて素材が柔らかいため、充填が難しく、注入が不十分で空隙ができてしまうことがあります。この空隙は後の作業で埋めてたとしても本来の強度をえられないため施工者の高い技術が求められます。
無収縮モルタル工事の品質管理
コンステンシー試験
無収縮モルタル(グラウト)の硬さの基準であるコンステンシーは水との混合比により変わるため、流し込み用の無収縮モルタル(グラウト)の際にはJロートによる流下時間の測定を行っています。
Jロートによる下流時間の測定では主に、無収縮モルタル(グラウト)流れ易さでモルタルの硬さを判断します。モルタルが硬すぎる場合、流し込む際に型枠の入り隅部や細かな部分に入りきらず未充填部分が発生する恐れがあり注意が必要となります。
J14ロートによる流下時間測定試験の手順
(1)流し込み | 流下口を指で塞ぎロートにモルタルを流し込む。 少量を流下させ気泡を取り除き流下した分を改めて流し込む |
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(2)流下時間の計測 | 流下口の指を離し、流下開始から終了前の時間を計測する |
(3)測定値の記録 | 流下時間の測定は2回行い平均値を測定値とする。 合わせて練り上がりの温度の計測をおこなう |
圧縮強度試験
圧縮強度試験は無収縮モルタル(グラウト)の品質管理において極めて重要な試験となり、測定は材齢28日(施工後28日間養生を施したもの)の供試体に実施し、一般部材に打設されるコンクリートの強度を上回っているかの確認を行います。
→コンクリートコア供試体の圧縮強度試験について
強度用供試体の製作手順
(1)流し込み | 直径5cm、高さ10cmの円柱型枠にモルタルを2層に分けて空気が入らないように静かに流し込む |
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(2)養生 | 型枠一杯にモルタルを満たし表面の乾燥を防ぐためにビニールフィルム等で覆う |
(3)保管 | 材齢28日まで現場で水中養生を行う |