ダイアモンドコア穿孔工事
ダイアモンドコア穿孔工事とは
コンクリート躯体内にダクトや配管・配線を通す場合、建設時であればスリーブやボイドを用い配管を通すスペースを確保できますが、既存のコンクリート躯体に穴を空けなければならない場合や、工事途中にもかかわらず設計・設備機器に変更があり、新たに配管を通すルートの新設に迫られる場合があります。
こういった場合に強力なモータでダイヤモンドコアビットを回転させ、コンクリートやALCに穴を開ける作業をダイアモンドコア(ダイアモンドコア穿孔工事)と呼びます。
ダイアモンドコアビットには1インチ刻み(一般的には25Φ~600Φ)でコアサイズが用意されており、小さなものから多きなものまで目的にあった穴が空けられます。600Φ以上の穴であっても穿孔したい穴を墨出しし、小さなコアでその墨を沿って一周コア抜きを行う(桜掘りコア抜き工事)ことでより大きなコア抜きも可能です。
一般的にはダイアモンドコアビットの磨耗・熱を冷ますために水を使う湿式が用いられることが多く、作業効率も良く騒音・振動も少なく、コア抜き時の粉塵を抑えられることが特徴としてあげられます。
また水を使用しない乾式工法もあり、水漏れや排水の処理が困難な場合に用いられ、工期の短縮・その他工事との併用のため近年施工が増えています。
ダイアモンドコア穿孔工事の特徴
ダイアモンドコア穿孔工事の特徴 |
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ダイアモンドコア穿孔工事の用途
ダイアモンドコア穿孔工事の用途 |
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コンクリートの強度診断にも使用
マンションや戸建て・土木構造物等のコンクリートの耐震性を診断するため、ダイヤモンドコアを用い圧縮強度・中性化試験等の供試体(テストピース)の採取を行います。
採取前には、埋設する鉄筋や配管等を切断しないよう、あらかじめ鉄筋探査を行いコア抜きを行います。また供試体を採取した部分には空隙が生まれないよう無収縮モルタルで穴埋めを行います。
圧縮強度試験 |
コンクリート圧縮強度試験の目的は、実際に打設されたコンクリートの強度を測り、基準通りの強度を発揮しているかを確認します。 試験は供試体に一定の速度で圧縮力を加え、破断までの最大荷重を求め、供試体の断面積で除した圧縮強度を算出します。 算出した強度は「材齢が28日の供試体の圧縮強度の平均値が設計基準強度の値に10分7を乗じた数値以上であり、かつ材齢が91日の供試体の圧縮強度の平均値が設計基準強度の以上であること」が要求される。(建設省告示1102号参照) →無収縮モルタル打設時の圧縮強度試験について |
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中性化試験 |
打設時アルカリ性であるコンクリートも経年劣化により、雨や車の排気ガス・空気中に含まれる二酸化炭素の影響を受け表面から徐々に中性化が進行します。 中性化が進行すると、コンクリート内部の鉄筋が腐食・膨脹し、コンクリート表面にクラックが入り剥落の危険性が増すため、中性化の進行具合と深さを測定します。 供試体のコンクリート粉末にフェノールフタレインエタノール試薬を用い、変色の有無によりコンクリートの中性化を測定します。 |
ダイアモンドコア穿孔工事の品質管理
ダイアモンドコア穿孔工事の施工手順
(1)鉄筋探査による内部構造の確認 | 誤ってコンクリート内に埋設されている鉄筋や配管等を切断しないよう、あらかじめ鉄筋探査による内部構造の確認を行う |
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(2)墨出し | コア抜きする位置と穿孔径を確認し、墨出しを行う |
(3)ダイアモンドコアドリル固定 | ダイアモンドコアドリル固定のためのアンカーを打ち込み、機械を固定する。機械を壁にセットする場合、必要に応じて壁からのバックスペースを設ける |
(4)養生・穿孔 | 水を流しながら穿孔を開始(室内・排水処理が必要な場合は排水のための養生を行う) |